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AIプラットフォームとモデル比較

文書基準: 2026年8月 | この文書は変化の速い領域であり、四半期ごとのレビュー対象です。

世代 主要技術 特徴 クラウドサービス例
従来型ML 回帰、分類、クラスタリング 定型データベース、フィーチャーエンジニアリングが必要 SageMaker, Azure ML, Vertex AI
ディープラーニング CNN, RNN, Transformer 非定型データ(画像、テキスト、音声)の処理。GPU必須 GPUインスタンス、マネージド学習プラットフォーム
生成AI ファウンデーションモデル (LLM、マルチモーダル) テキスト/画像/コード生成。API呼び出しで利用 Bedrock, Microsoft Foundry, Gemini
エージェンティックAI LLM + ツール呼び出し + 自律実行 目標を与えると自ら計画・実行・検証 AgentCore, Foundry Agents, 詳細→

パラダイムシフト: 従来型MLは「データを集めてモデルを直接学習する」方式でした。2017年にGoogleが発表したTransformerアーキテクチャ(“Attention Is All You Need”)が転換点となりました。大規模テキストを並列で学習できるようになったことでGPT、BERTなどのファウンデーションモデルが誕生し、その後「すでに学習済みのモデルをAPIで呼び出す」生成AI時代が幕を開けました。エージェンティックAIでは、このモデルがツールを使って「自ら作業を完遂する」段階へと進化しています。

  • チャットボット/問い合わせ自動化 — 顧客問い合わせに24時間対応したいとき
  • 文書要約/分類 — 大量の報告書、メール、契約書を素早く分析したいとき
  • 翻訳/コンテンツ生成 — 多言語対応、マーケティングコピー生成、製品説明の自動化
  • コード作成/レビュー — 開発生産性の向上、セキュリティ脆弱性の検出
  • データ分析 — 自然言語の質問でデータインサイトを得る

オンプレミスでAI/MLを行うには、GPUサーバーの購入、フレームワークのインストール、学習インフラの構成を自ら行う必要があります。クラウドではGPUを時間単位でレンタルし、マネージドプラットフォームでモデルを学習・デプロイできます。

種類 入力 → 出力 代表的サービス ユースケース
テキスト (LLM) テキスト → テキスト GPT-5.6, Claude Fable 5, Gemini 3.5 チャットボット、要約、コード生成
画像生成 テキスト → 画像 DALL-E, MAI-Image, Imagen, Titan Image マーケティング、デザイン
音声 (TTS/STT) テキスト ↔ 音声 Polly, MAI-Voice, Azure Speech, Cloud TTS 議事録、ARS、アクセシビリティ
動画生成 テキスト → 動画 Nova Reel, Veo 3.1, Gemini Omni 広告、ショート動画
マルチモーダル テキスト+画像+音声 → テキスト GPT-5.6, Gemini 3.5 Pro, Claude Fable 5 文書理解、画像分析
エンベディング テキスト/画像 → ベクトル Titan Embeddings, Gemini Embedding, Cohere Embed RAG、類似度検索

自らモデルを学習させることなく、ベンダーがホスティングする大規模言語モデル(LLM)をAPIで呼び出します。各ベンダーは自社開発モデルとパートナーモデルを併せて提供しており、エコシステムが急速に拡大しています。

モデル提供社 主要モデル 1P (直接) 3P (クラウド提供)
OpenAI GPT-5.6 (Sol/Terra/Luna), GPT-5.5, oシリーズ api.openai.com Azure Foundry, Bedrock
Anthropic Claude Fable 5, Opus 5, Opus 4.8, Sonnet 5, Haiku api.anthropic.com Bedrock, Vertex AI
Google Gemini 3.5 Pro/Flash, 3.1 Pro, Gemini Omni (Preview/GAは公式文書で確認) Gemini API Vertex AI (ネイティブ)
SpaceXAI (旧xAI) Grok 4.6, Grok 4.3, Grok Imagine x.ai/api OCI, Vertex AI, Bedrock, Azure
Meta Llama 4 (オープンウェイト) llama.com Bedrock, Vertex, Azure, OCI (ホスティング)
Amazon Nova 1(Premier/Pro/Lite/Micro/Sonic等) + Nova 2(Lite, Pro等 — 世代区分) — (Bedrock専用) Bedrock
Microsoft MAI (Image/Voice/Transcribe) — (Foundry専用) Azure Foundry
Mistral Large, Small, Codestral api.mistral.ai Bedrock, Azure, Vertex
Upstage Solar Pro 3/2/Mini console.upstage.ai AWS/Azure Marketplace
LG AI Research EXAONE 4.x 直接契約 Marketplace、セルフホスティング

クラウドプラットフォーム別の特徴

Section titled “クラウドプラットフォーム別の特徴”

上記のモデルをホスティングするクラウドプラットフォームは、それぞれ独自の付加価値を提供します。

プラットフォーム 強み
Amazon Bedrock マルチモデル単一API、AgentCore、AWS IAM/VPC統合、EDP消化
Microsoft Foundry OpenAI主力チャネル、M365/GitHub統合、Foundry Local(閉域網)、PTU
Vertex AI / Gemini Platform Geminiネイティブ、2Mトークン、Model Garden 200+モデル、ADK
OCI Enterprise AI Oracle DB統合、専用GPUクラスター(RDMA)、イグレス10TB無料
ベンダー エージェントプラットフォーム RAG
AWS Bedrock AgentCore Bedrock Knowledge Bases — Managed KB(Smart Parsing, Agentic Retriever), Web Search
Azure Microsoft Foundry Agents Azure AI Search
Google Cloud Gemini Enterprise Agent Platform Vertex AI RAG Engine
OCI OCI Enterprise AI Agents OCI Search連携

コードアシスタント / AIエージェント

Section titled “コードアシスタント / AIエージェント”

コーディングエージェント(Kiro, Claude Code, Codex, Copilotなど)とエージェントプラットフォーム(AgentCore, Foundry Agentsなど)はAIエージェントで扱います。

自らモデルを学習・デプロイする必要がある場合に使用します。

ベンダー 製品 備考
AWS SageMaker AI 学習、チューニング、デプロイ、MLOps統合プラットフォーム
Azure Azure Machine Learning ノートブック、AutoML、パイプライン、モデルレジストリ
Google Cloud Vertex AI 学習、デプロイ、パイプライン、Feature Store統合
OCI OCI Data Science ノートブック、モデル学習/デプロイ、パイプライン

以下はベンダー別のGPUインスタンス製品一覧です。GPU世代別(H100/H200/B200/GB200)のスペック・性能比較とリージョン可用性はマルチクラウドAI — GPU可用性を参照してください。

ベンダー 製品 備考
AWS P6 (NVIDIA B200), P6e (GB200 UltraServer), P5 (H100), Trn2 (Trainium), Inf2 (Inferentia) Blackwell: P6-B200(8×B200)、P6e-GB200(最大72 GPU NVLink)。学習: Trainium、推論: Inferentiaでコスト最適化
Azure ND GB200-v6, ND H200 v5, ND H100 v5 GB200-v6: Blackwellフラッグシップ。DL学習/生成AI/HPC
Google Cloud A4X (GB200 NVL72), A4 (B200), A3 (H100), TPU v5p/v6e/Ironwood A4: Blackwell単一GPU、A4X: GB200 NVL72ラックスケール提供。TPU: Google自社AIアクセラレータ(Ironwood最新)
OCI GPU Instances (B200, H100, A100) NVIDIA Blackwell + Bare Metal + RDMAクラスター対応

Amazon Bedrock — 自社開発のAmazon Novaモデル(第1世代Premier/Pro/Lite/Micro/Sonic等とNova 2 Lite/Pro等 — 公式モデル一覧で世代・提供状況を確認)と、Anthropic Claude、OpenAI GPTシリーズなど多様な提供社のモデルに単一APIでアクセスできます。モデル選択の幅が広く、AIエージェント構築のためのAgentCoreなどの運用体系が強みです。

Microsoft Foundry — 旧Azure AI Foundryがブランドを統合した上位プラットフォームです。OpenAI GPT-5.5/5.4シリーズをエンタープライズ環境で利用できる主要な経路であり、Anthropic、Metaなど他社モデルも幅広く提供します。自社のMAIモデル群(Image-2.5, Voice-1, Transcribe-1)とFoundry Local(ローカル/閉域網実行)が追加されました。Microsoft 365、GitHub、Power Platformなど既存のMicrosoftエコシステムとの深い統合が最大の強みです。

Gemini Enterprise Agent Platform — 旧Vertex AIがエージェント中心に全面刷新されたプラットフォームです。Google自社のGemini 3.x/2.5シリーズ(3.5 Pro/3.5 Flash/3.1 Pro等 — 各バリエーションのPreview/GA・上限は公式文書で確認)のネイティブなマルチモーダル能力とTPUインフラが強みです。長文コンテキスト・推論モード・Gemini Omni(マルチモーダル)や、Agent Studioを通じたローコードエージェント開発、Google Search/BigQueryとの連携が差別化ポイントです。

OCI Enterprise AI — 旧OCI Generative AIが拡張されたプラットフォームです。Cohere、Meta Llama、SpaceXAI Grok、Google GeminiなどのモデルをOCIインフラでホスティングし、専用AIクラスター(Dedicated AI Cluster)とRDMAベースのBare Metal GPUで高性能ワークロードを支援します。AI Guardrails(コンテンツモデレーション、PII検出、プロンプトインジェクション防御)とEnterprise AI Agents(GA)が追加されました。OpenAIとのパートナーシップにより、GPT-5.5/5.4およびCodexをOCI MarketplaceでOracle Universal Creditsとして利用できるようになる予定であり、Oracle Database/アプリケーションとのネイティブ統合が強みです。

Applied AI (業界別完成型サービス)

Section titled “Applied AI (業界別完成型サービス)”
領域 ベンダーサービス トレンド (2025-2026)
コンタクトセンター Amazon Connect, Azure Contact Center, Google CCAI コパイロット → 自律エージェントへの転換
文書処理 Textract, Document Intelligence, Document AI LLM/マルチモーダル推論の結合
BI Amazon Quick, Copilot in Power BI, Gemini in Looker エージェンティック分析、ダッシュボードエージェント
ヘルスケア Amazon Connect Health, Azure Health Bot HIPAAエージェント

センサー・ロボット・設備など物理世界とAIを接続するPhysical AI(エッジ推論、デジタルツイン・シミュレーション、ロボティクス基盤モデル)は、別文書Physical AIでベンダー中立の視点から詳しく扱います。

マルチクラウドモデルアクセスの変化 (2025-2026)

Section titled “マルチクラウドモデルアクセスの変化 (2025-2026)”

2025~2026年にかけて、モデル提供社とクラウドベンダー間の関係が変化しています。最大の変化はOpenAI-Microsoft独占の終了であり、その他の提供社もチャネルを拡大しています。

時期 イベント 影響
2026.04 OpenAI-Microsoft独占終了 OpenAIモデルをAzure以外のプラットフォームでも提供可能に
2026.04 OpenAIモデル → Bedrock提供開始 独占終了直後にGPT-5.xがBedrockに登場
2025-2026 SpaceXAI(旧xAI) Grokのマルチクラウド展開 Azure AI Foundry(2025.09), Vertex AI, OCI, Bedrock(2026.06 Grok 4.3 GA)
2025-2026 Anthropic Claudeのチャネル強化 既存のBedrock/Vertexに加え、OCIなどの追加チャネル

運用上の示唆:

  • 単一のクラウドベンダーに縛られず、複数の経路で同一モデルにアクセスできるようになりました
  • モデル選択時に「どのモデルか」だけでなく「どのプラットフォームからアクセスするとコスト/SLA/リージョンが有利か」が意思決定基準となります
  • マルチクラウドAIでベンダーの組み合わせ戦略を詳しく扱います

生成AIの主なコストは推論(inference) で発生します。2025-2026年にベンダーが導入したコスト削減オプションです。

戦略 説明 ベンダー対応
Flex/バッチ推論 レイテンシに敏感でないワークロードを低優先度で処理してコスト削減 Bedrock Flex Inference, Azure Batch API, Vertex Batch Predictions
モデルルーティング 単純なクエリは軽量モデル(Flash/Haiku/mini)、複雑なクエリのみ高性能モデルに分岐 Bedrock IntelligentPromptRouter, 自社構築
プロンプトキャッシング 同一のシステムプロンプト/コンテキストをキャッシュして繰り返しトークンのコストを削減 Anthropic Prompt Caching, OpenAI Cached Tokens, Gemini Context Caching
長期コンテキスト vs RAG モデルのコンテキストウィンドウ拡張(1~2M+トークン)によりRAGなしでも十分な場合が発生 Gemini 3.5 Pro, Claude Opus系
GPU価格競争 ハイパースケーラー間でのGPUインスタンス価格引き下げ傾向 AWS, Azure, GCP競争的値下げ
  • Fine-tuningから開始 — RAGで十分な問題をFine-tuningで解決しようとし、コストと時間を浪費。RAGをまず試すべき
  • モデルバージョンを固定しない — ベンダーがモデルを更新すると既存プロンプトの挙動が変わり、プロダクション品質が突然低下する
  • 単一モデルで全ワークロードを処理 — 単純な分類作業にも最大級のモデルを使用し、コストが不必要に増加。タスク別のモデル分離が必要
  • ワークロード特性(対話、要約、コード生成など)に合ったモデルを選択し、コスト/品質を比較したか
  • モデルID/バージョンをコードに固定し、アップグレード時は評価を経て切り替えているか
  • RAG → Fine-tuning → 直接学習の順で段階的にアプローチしているか