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LLMOps

文書基準: 2026年8月 | 本文書は変化の速い領域であり、四半期ごとのレビュー対象です。

AIプラットフォームとモデル比較でモデルを選び、RAG高度なパターンでパイプラインを構築した後は、プロダクションで継続的に品質を維持し改善する必要があります。これをLLMOpsと呼びます。

graph LR
    A[プロンプト作成] --> B[評価] --> C[デプロイ] --> D[モニタリング] --> E[改善]
    E --> A

デプロイ前に品質を検証します。

評価タイプ 方法 ツール
Golden Set 正解のあるテストセットで正確度を測定 自前構築 + 自動採点
LLM-as-Judge 別のLLMが応答品質を評価 Bedrock Evaluations, Vertex AI Eval
Human Review 人がサンプルをレビュー ラベリングツール(Label Studioなど)
回帰テスト プロンプト/モデル変更後、既存の品質維持を確認 CIパイプラインに統合

RAGの検索・応答品質指標(Recall@K、MRR、NDCG、Faithfulness、Answer Relevance、Context Precision/Recall)と評価ツールはRAG高度パターン — 評価で詳しく扱います。

ベンダー サービス 特徴
AWS Bedrock Evaluations 自動評価 + 人による評価。モデル比較
Azure Azure AI Evaluation SDK Python SDKベース。CI/CD統合
Google Cloud Vertex AI Evaluation Service 自動指標 + 人による評価
ベンダー中立 Ragas, DeepEval オープンソースRAG評価フレームワーク

プロンプト/モデルバージョン管理

Section titled “プロンプト/モデルバージョン管理”
管理対象 方法 ツール
プロンプトバージョン Gitでプロンプトテンプレートを管理。変更時に評価を自動実行 Git + CI
モデルバージョン モデルID/バージョンをコードに固定。アップグレード時にA/Bテスト Bedrock Model ID, Azure Deployment
デプロイ戦略 Canary(10%のトラフィックで新バージョンを検証) → 全面切り替え ルーティング設定
ロールバック 以前のプロンプト/モデルバージョンへ即座に復帰 デプロイパイプライン
指標 意味 アラート基準の例
Latency (p50/p99) 応答時間 p99 > 5秒
Token Usage 入出力トークン消費量 日平均比200%超過
Error Rate APIエラー率 > 1%
Cache Hit Rate プロンプトキャッシュのヒット率 < 50%(期待より低い)
Cost per Request リクエストあたりのコスト 予算超過
Fallback Rate 主モデル失敗 → 代替モデル切り替え率 > 5%

ベンダー別モニタリング:

  • AWS: CloudWatch + Bedrockメトリクス(InvocationLatency, InputTokenCount, OutputTokenCount)
  • Azure: Azure Monitor + AI Studioメトリクス
  • Google Cloud: Cloud Monitoring + Vertex AIメトリクス

ベンダーネイティブのモニタリングに加え、LLMワークロードに特化した専門的なObservabilityツールがあります。プロンプトトレーシング、RAG品質分析、コスト追跡、評価自動化を統合的に提供します。

製品 種類 主な機能 参考
Arize AI 商用 トレーシング、評価、ドリフト検出、RAG分析、ガードレールモニタリング Phoenix(オープンソース版)
LangSmith 商用(LangChain) LangChain/LangGraphネイティブのトレーシング・評価、プロンプトハブ LangChainエコシステム利用時の自然な選択
Langfuse オープンソース セルフホスティング可能、プロンプト管理・トレーシング・コスト追跡 ベンダーロックインなしで自前運用可能
Weights & Biases (Weave) 商用 実験追跡 + LLMトレーシング + 評価 ML実験管理との統合

選定基準:

  • ベンダーネイティブ(CloudWatch/Azure Monitor)で基本的なメトリクスは十分だが、プロンプト単位のトレーシングRAGパイプラインのデバッグには専門ツールが必要
  • LangChainベースならLangSmith、フレームワーク非依存ならArize/Langfuse
  • データ主権が重要ならLangfuse(セルフホスティング)またはArize Phoenix(オープンソース)

エージェント観測(Agent Observability)

Section titled “エージェント観測(Agent Observability)”

AIエージェントは単一のLLM呼び出しとは異なり、マルチステップのトラジェクトリ(計画→ツール呼び出し→結果観察→反復)を持つため、追跡すべき指標が異なります。

指標 説明 重要な理由
ツール呼び出し成功率 正しいツールを正しいパラメータで呼び出した割合 最も早いドリフトの兆候
トラジェクトリ長 タスク完了までのステップ数、リトライ回数 ループ/非効率の検出
ステップ別レイテンシ 各段階(モデル推論、ツール実行)のP50/P99 ボトルネックの特定
セッションあたりのコスト トークン(モデル別) + ツール呼び出しコストの合計 予算超過の早期警告
タスク完了率 目標達成の有無(成功/失敗/タイムアウト) 主要ビジネスメトリクス
ドリフト エンベディング/クラスタの変化、モデルバージョン切り替え後の挙動変化 品質低下の早期検出
オンライン評価スコア プロダクショントラフィックのサンプリング + LLM-as-Judge 継続的な品質保証

エージェント観測に強いツール:

ツール エージェント特化機能
LangSmith LangGraphトラジェクトリのリプレイ、ツール選択分析、オンライン評価
Datadog LLM Observability エージェント意思決定グラフ、ループ検出、APM/インフラとの相関分析
Braintrust トレース→評価データセット→CIゲート自動化、Topicsクラスタリング
Arize AX 継続的評価、トラジェクトリ精度、ドリフト検出
Galileo Luna評価器(低コスト/低レイテンシ)、ツール選択品質、失敗クラスタリング
AgentCore Observability(AWS) CloudWatch + OTEL自動計装、セッション/ツール/メモリメトリクス
Azure Foundry Monitoring(Azure) OTELベースのマルチエージェントトレーシング、継続的評価、Azure Monitor連携
Vertex AI Tracing(Google) Cloud Trace連携、ADKトレーシング、モデル+ツールタイムライン
Langfuse(オープンソース) セルフホスティング、フレームワーク非依存トレーシング、コスト追跡、プロンプト管理
Phoenix(オープンソース) OpenInferenceベース、セルフホスティング、トレース+評価+ドリフト
パターン 説明
モデルFallback 主モデルの障害/遅延時に代替モデルへ自動切り替え(例: メインのClaude系 → GPT系 → Gemini系)
Rate Limit対応 ベンダーのRate Limitに達した際にキューイングまたは代替プロバイダへルーティング
Budget Guardrail 日次/月次コスト上限を設定。超過時にリクエストを拒否するか、より安価なモデルへ切り替え
PIIマスキング プロンプト/応答ログの個人情報を自動マスキングしてから保存
  • 評価なしにプロンプト/モデルを変更してデプロイ — 回帰テストを行わず、これまで正常に動作していた応答品質が突然低下する
  • プロンプト/応答ログにPIIをそのまま保存 — マスキングなしにログを保存し、個人情報保護法違反およびデータ漏洩のリスク
  • モデルFallback戦略なしに単一モデルに依存 — ベンダーのRate Limitや障害時にサービス全体が停止する
  • プロンプト/モデル変更時にGolden Setベースの回帰テストをCIパイプラインで自動実行しているか
  • プロンプト/応答ログにPIIマスキングを適用しているか
  • 主モデル障害時に代替モデルへ自動切り替えするFallback戦略を構成したか